スタイリストに聞く「”オシャレ”な制服の条件」色の数とシルエットがポイント

例えば、飲食店で食事をしたあと、「雰囲気や居心地が良かった」と感じることもあれば、残念ながら、そうでないこともあるでしょう。この違いは「空間」によって左右されるものですが、店舗の空間づくりの際、インテリアや照明に並んで重要な要素があります。

 

それは「制服」です。

 

制服を着用したスタッフは、空間づくりを担う大切な存在。店舗の魅力を最大限に引き立てます。では、どのような制服が「おしゃれ」で、訪れる人たちに好印象を与えることができるのでしょうか?

 

今回は、パーソナルスタイリストの土屋英里さんに「おしゃれな制服の条件」を聞いてみました。

「おしゃれ」には、ある法則が!キーワードは「色の数」と「シルエット」

― 「おしゃれ」というのは、感覚的なもの、いわゆる“センス”が必要に思いますが、それに自信がない場合は、どうすれば良いのでしょう?

 

土屋:「おしゃれ」に魅せるには、実は法則があるんです。

 

まずは、色の数。制服の上下合わせて3色までにすると、うまくまとまります。それ以上多くすると派手になり、似合う人が限定されますので、不特定多数が着用する制服には不向き。ちなみに2色でも構いませんが、3色には「適度な複雑性」があるため、見る人の脳が画像を処理するのに時間がかかるんです。よって、3色の方が2色より複雑で、おしゃれな印象を与えます。また、着る人を選ばないベーシックカラー、黒や白、ネイビー、ベージュなどを基調にすると良いでしょう。

 

次に、シルエットですが、「三角形」もしくは「逆三角形」になるようにしてください。例えば、ボトムが広がりのあるロングスカートの場合、トップスにはタイトなTシャツなどを。反対に、トップスがゆったりとしたシャツなら、ボトムは細身のスキニーパンツなどを合わせるとバランスが良いです。最近、ゆったりシルエットのガウチョパンツが流行していますが、ガウチョパンツに大きめのシャツを合わせてしまうと、太って見えたり、だらしない印象を与えかねませんので、要注意です。

 

「色の数」と「シルエット」の法則に従うだけで、印象は大きく変わりますよ。

 

― この法則に基づくもので、土屋さんが「これは素敵!」と思う制服はありますか?

 

土屋:2013年4月にリニューアルした日本航空の客室乗務員の制服ですね。

 

出典:http://www.asahi.com/fashion/article/TKY201212200645.html

 

色はネイビーと白をベースに洗練された印象です。そして、日航のロゴマーク「鶴丸」をモチーフにした赤のワンポイントが、アクセントになっておしゃれ。このように、上半身にワンポイントを入れると重心が上がって見えるため、スタイルアップの効果を得られます。また、ベルトもウエストマークされることで、同様の効果を発揮します。これらは、おしゃれに見せる基本的なテクニックなので、ぜひ覚えておいてください。

 

シルエットも、ボトムに少し広がりのあるAラインのスカートで、きちんと「三角形」になっていますよね。

 

「おしゃれな制服」はサービスレベル向上につながる!

― 先ほど「色の数は3色」というお話でしたが、黒や白、ネイビー、ベージュなどのベーシックカラーから2色を選んだとすると、残り1色はどのように選べば良いですか?

 

土屋:それは、どのような路線で空間づくりを行うのかによって異なります。お店が打ち出したいイメージと制服のイメージを統一しないと、空間そのものがチグハグな印象になってイメージダウンを招きますので、注意しましょう。

 

例えば、大きく「スタイリッシュ」か「カジュアル」かに分けると、前者では都会的でクールに魅せる必要があるため、グレーやシルバー、ブラックなどのモダン(都会的)なカラーが良いですね。後者では、オレンジや黄色といった、生き生きとしたビタミンカラーを入れると親しみやすさが出て、カジュアルな印象になります。

 

ただ、ビタミンカラーのような派手な色は、どうしても似合う・似合わないが人によって分かれることもありますので、Tシャツやスカーフを2~3色用意しておいて、働くスタッフさん自身が好きな色を選べたりするのも良いですよね。

 

― 自分で好きな色を選べるなら、働くスタッフさんたちも喜びそうですね。

 

土屋:特に女性の場合、制服によって働くモチベーションが影響される傾向にあります。実際、「似合わない制服を着るのが嫌だから仕事に行きたくない」という女性にも出会いました。

 

おしゃれな制服」を着れば仕事に対して気持ちが前向きになるので、自ずとサービスレベルも上がるはずです。それに、人材採用の面においてもプラスに働くと思いますよ。「おしゃれな制服を着て働きたい!」という欲求は、多くの女性に共通してあるはずですから。

制服は、おもてなしの心を表す「空間づくり」の重要なファクター

土屋さんいわく、制服がおしゃれな店舗からは「空間づくりを大切にしていることが伝わってくる」とのこと。そのようなところは、お店の意識が高く、接客が素晴らしいことが多いのだとか。確かに「空間づくり」は、おもてなしの心の具現化に他なりません。

 

どのような空間を提供したいのか――。制服を「空間づくり」の重要なファクターと位置づけたうえで、店舗の目指すべき方向性を改めて見つめ直すのも良いかもしれません。

 

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【取材協力】土屋英里さん

パーソナルスタイリスト

パーソナルスタイリスト
Happy Closet主宰
2008年よりOLをしながらカラースクール、ファッションスクールの講師として経験を積み、2011年に独立。会社員や主婦、起業家、経営者など、これまで延べ700人以上にファッションアドバイスを行う。また、個人向けのアドバイスだけでなく、最近は企業のファッションイベントや、テレビ番組企画にも携わるなど活躍の場を広げている。■HP:http://happy-closet.com/