マラソン参加賞のオリジナルTシャツで世界への架け橋を!ランニングコーチ
「ランニングを通して何かできないか」――
元駅伝選手でランニングコーチをしている岩田豪さんの模索から生まれた、オリジナルTシャツを使った「キミのためにできること。」プロジェクト。
3年前から活動を始め、今年は300枚ものTシャツが集まる一大プロジェクトとなった「キミのためにできること。」とは一体、何をしているプロジェクトなのでしょうか?
ひとりの監督との出会いですべてが変わった。駅伝で歴史的記録を出すまでー
――岩田さんはいつから駅伝をされていたのでしょうか?
岩田:私は高校から駅伝をやっていました。でも、大きな転機となったのは、東洋大学に入学したことでした。当時、東洋大学はとても弱くて箱根駅伝に出ても最下位になるようなチーム。それが4年生になるときに、川嶋伸次監督が赴任してきたことですべてが変わったんです。
10区を走った私は5人抜きをして、22年ぶりにシード権を獲得、18年ぶりの6位に入賞しました。そこからシード権を毎年獲得できるようになったんです。
――川嶋監督の指導はどういうものだったんですか?
岩田:それまで教えられてきた「たくさん走るほど速くなる」というものではなく、もっと技術的なことや戦術的なことを教えてもらいました。例えば体の構造を理解したうえでこう体を動かせば速く走れるとか、上り坂は体をこう動かすというようなことを徹底的に叩き込まれたんです。そうすることでチーム全体が速くなりました。それまで走る技術を教えてもらわなかった私には衝撃的で。その指導法を基に、さくら組という団体を作り、全国のスポーツショップや健康増進施設でランニング指導をするフリーのランニングコーチをしています。
オリジナルTシャツで何かできないか。紆余曲折ありながら作り上げたプロジェクト
――「キミのためにできること。」プロジェクトはどうして生まれたんですか?
岩田: 昨今はマラソン大会が全国各地で増えていて、実はそのほとんどの大会が参加賞にTシャツを配っているんです。だから、1ヶ月の間に何度も大会に出ている人は、どんどんTシャツが増えていくんですね。「じゃあ、そのオリジナルTシャツを何かいいことに使えないかな?」と考えたのが、このプロジェクトの始まりでした。
そこで当時、友人がコーチをしている実業団に所属していたケニア人選手に「自分の国へ持って帰ってもらったらどうだろう?」という話が持ち上がりました。ところがこれが間違いでして…。
僕がオフィスにしているコワーキングスペースに、ケニアに医療提供をするNGOをやっている宮田さんという方がいるのですが、宮田さんにこの話をしたら怒られてしまいました。
――どうして怒られたんですか?
岩田:ケニアでは、荷物検査のときに似たような形のTシャツを数十枚持っていたら、商売をするとみなされて関税をとられるそうなんです。ケニアの内情を聞いて、僕達のエゴでTシャツをプレゼントするというのは考えが甘かったなと反省しました。
――そこからきちんとプロジェクトにしようとされたんですか?
岩田:はい。最初は思いつき、そして仲間内だけでやろうとしていたんですが、やるからにはその国の人達に渡すまでをきちんと設計すべきだと考え直しました。
幸い宮田さんが「医療を提供してまわるときにTシャツも配りますよ」と言ってくれたので、ご厚意に甘えながら、配送ルートも考えたプロジェクトとして立ち上げようということになりました。配送料・資材代・検品に工数がかかるので、賛同していただいた方には1着500円を負担していただいています。
自分自身がもらってうれしいオリジナルTシャツを贈りたい
――送るのは、新品もしくは使用済みでもきれいなものにしているとお伺いしました
岩田:はい。自分自身がもらってうれしい状態のもの、という基準を設けています。速乾性吸汗性に優れたドライTシャツ(ポリエステル100%)で、綺麗なもののみを受け付けています。これらをひとつひとつ検品して汚れのひどいもの、ほつれがあるもの、破れているものはないか確認しています。今年は300着もTシャツが集まりましたので、カンボジアに送ります。
大会に参加する目的が増えた。オリジナルTシャツがつなぐ絆
――参加している方からはどんな声がありましたか?
岩田:ものを大事にするという環境問題にも配慮した活動なので、そこに意義を感じてくださっている方が多いです。あとは、「オリジナルTシャツをゲットする」という、大会に参加する新たな目的が増えたと言ってくださった方がいたのは嬉しかったですね。
マラソン大会は申込みの段階でオリジナルTシャツのサイズを選ぶのですが、自分のサイズではなく、子ども達が着られるような小さいサイズを選んでくださる方もいます。今後も続けてほしいという応援の声もたくさんいただいています。
――このプロジェクトの今後の展開は?
岩田: 今後このTシャツを持ってカンボジアに行く予定になっており、現地で直接Tシャツを渡すことが楽しみですね。そしてこのプロジェクトは今後もやり続けていきたいと思っています。できれば年に1回ではなく、もう少し頻度を増やしたいです。広報活動や国内でのランニングイベントを行い、このプロジェクトをもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思っています。それを実現するには協力してくれる方や協賛企業が必要になるので、意義を感じていただいた方ぜひご連絡ください!
まとめ
オリジナルTシャツがランナーに新たな参加意義を生み、そして世界の架け橋になる。
岩田さんのお話には、そんなオリジナルTシャツの持つ可能性がギュッと詰まっていました。
今後マラソンなどのイベントを企画される方は、ぜひオリジナルTシャツを作ってみてはいかがでしょうか?
心を込めて制作したTシャツが、参加者に、そして世界に喜びをもたらすかもしれません。
取材・文:上野郁美
世界でたった1つ。
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岩田豪さん
ランニングコーチ。
さくら組http://team-sakura.net/ キミのためにできること。https://www.facebook.com/CanDoForYou2017/ 代表。
東京箱根間往復大学駅伝競走、総合6位区間2位、全日本大学駅伝対校選手権大会、総合5位区間4位の記録を持つ。練習量よりも練習内容にこだわった練習を提案し、「ランニングを楽しむ」、「ケガをしない練習方法の提案」、「練習メニューの本質を知る」を指導理念としている。