実在する猫をモデルにした可愛すぎる保護猫Tシャツ!「かわいそう」以外の理由で応援してほしいから
「『かわいそうだから買おう』だと、ちょっと違うんです。商品そのものに魅力を感じてほしくて」
そう話してくれたのは飼い主のいない犬猫の保護・譲渡活動をしている一般社団法人LOVE & Co.(以下LOVE & Co.)のディレクター・矢沢苑子さん。
今回は動物保護という深いテーマをもちながらも、お洒落好きなら「可愛い!」とつい心が躍ってしまう保護猫Tシャツをご紹介します。制作するうえでのこだわりや、販売後の変化についてお聞きしました。
飼い主のいない犬猫の保護・譲渡活動を行う一般社団法人LOVE & Co.
LOVE & Co.は不遇な動物達を保護し、里親との出会いをサポートしています。2016年に現在の運営方法を始めてからは、40匹以上の動物たちの譲渡に成功しているそう。
LOVE & Co.が他の団体と違うのは、実在する保護猫たちの可愛い姿をモデルに色々な商品を販売していること。保護Tシャツはもちろん、珈琲やマグカップ・アクセサリーなどの雑貨も提案。ハンドメイド作家さんとのコラボ商品もあり、公式Webサイトはとても賑やかです。
商品の売上は、保護猫たちのご飯や医療費・保護する事務所の管理費・人件費などの事業全体の運営に当てているそう。動物たちはここで傷を癒しながら、新しい家族との出会いを待っています。
活動の中心となっているのはふたりの女性。10年以上にわたり個人で猫の保護活動を行っていたデザイナーの今村さんと、LOVE & Co.の事業側をメインで担当しているディレクターの矢沢さんです。
LOVE & Co.が提案し、657人から支援をうけた「保護猫Tシャツ」を紹介。制作した背景と販売後の変化についてお話を伺いました。
実在する猫たちをモデルにした可愛すぎる商品たち
矢沢さん:LOVE & Co.では飼い主のいない犬猫たちの保護と、里親の紹介をしています。猫と暮らしたいと思ったときに、ペットショップだけでなく保護猫という選択肢もいれてほしいという思いで活動をしています。
でも、こういった保護団体の活動は寄付ありきで運営されていることが多いのが現実。LOVE & Co.はそういった現状を少しでも変えたかったことと里親との出会いを増やしたかったことから、実在する動物たちをモデルに商品をデザインし、販売することにしました。
矢沢さん:「かわいそうだから」という気持ちで購入してもらうのでは嫌だなと感じたんです。(笑)
動物保護をテーマにしていると、商品そのものの魅力よりも「寄付したい」という気持ちで購入される方も少なくないと思います。その気持ち自体はありがたいのですが、「可愛いね」「おしゃれだね」と商品そのものに魅力を感じてもらえたらもっと嬉しい。
むしろ商品そのものに興味をもってもらえれば保護猫の存在を知らなかった人達にも届けることができる。新しく支援の輪を広げることができると考えました。
総支援者657人!話題の保護猫Tシャツとは?
矢沢さん:そういった思いのもと作成した「保護猫Tシャツ」は、今現在は2種類あります。どちらもクラウドファンディングで予約販売をしたのですが、合計で657人の方々に支援していただけました。
矢沢さん:1つ目は2017年にLOVE & Co.で保護している猫の”キョロ”をモデルに作った「キョロTシャツ」です。
キョロはデザイナーの今村が自宅の近所で保護した猫。人慣れがなかなか進まず、3年ほど一緒に暮らしても毎日のご飯タイムでも猛烈な威嚇と猫パンチを繰り広げていました。
過酷な野良猫時代を生き抜いてきた猫ほど、簡単に人に懐きません。なんとかキョロに心を開いてもらおうとスタッフ全員で努力していましたが、なかなか苦戦していましたね。
矢沢さん:キョロのペースで慣れてもらおうと考え、威嚇する素の表情をインスタグラムにあげたところ少しずつファンがつくように。専用アカウントのフォロワーが1000人を超えたのをきっかけに、Tシャツをつくることにしました。
矢沢さん:この評判がとてもよく、最終的に429人の方から1,914,684円の支援をいただくことができました。キョロも少しずつ人への恐怖心が薄れている様子です。
矢沢さん:その1年後、2つ目の保護猫Tシャツも制作することにしました。
どの子をモデルにするかはとても考えました。最終的には、1年半ほどうちで保護をしていてキャラのたっていたお父さん猫の”演歌”に決定。「演歌Tシャツ」をつくりました。
デザインの元となったのは、デザイナーの今村が遊びで書いたイラストです。1つ目のキョロTシャツよりも、少しだけロックなテイストに作りました。
矢沢さん:”演歌”は2016年の冬に沢山の子供たちと奥さんの”メロディ”と一緒にLOVE & Co.にやってきました。最初はすこしでも近づけば警戒して、大きな声で威嚇していたんです。
保護するにあたり検査をしたところ、演歌のお尻には何度もくり返し攻撃された生々しい傷がありました。演歌ファミリーが住みついていたご近所さんの話では、ボス猫に狙われていたメロディのことを体をはって守っていたそうです。
お尻の傷は逃げるところを攻撃されてできるもの。喧嘩は弱かったのかもしれません。(笑)ですが、メロディや子供たちへの愛情にあふれる演歌の魅力を、ぜひ伝えたいと思ったんです。
矢沢さん:最終的に、演歌Tシャツは228人の方に1,448,600円の支援をいただきました。
商品そのものをすてきだと感じてもらうためのポイント
矢沢さん:クラウドファンディングを行うときも、商品そのものを「いい!」と思ってもらえるように工夫しました。
いつも活動を応援してくれる方やコラボ商品をつくってくれている作家さんに着てもらい着用イメージを撮影。LOVE & Co.MAGAZINEとして雑誌風に作成しました。クラウドファンディングのページには、雑誌のコラージュ写真のように1週間の着回しコーディネートも掲載しています。
矢沢さん:また、Tシャツそのものの素材にもこだわり、肌触りの良いオーガニックコットンを選びました。1枚のTシャツを購入するごとにバングラデシュの雇用を生み社会改善に貢献している「WORK4BANGLA」の生地を使っています。
生地厚は4.3オンスとしっかり。男性でも女性でも着やすいすっきりとしたVネックを選んだため、カップルで購入してくださる方も多かったですね。
Tシャツ作成の最大の成果は支援の輪が広がったこと
矢沢さん:保護猫Tシャツをつくることで得た1番の成果は支援の輪が広がったことです。CAMPFIREというクラウドファンディングのプラットフォームを使ったことで保護猫に馴染みのない方にも存在を知ってもらえたことが大きかったですね。
保護猫Tシャツを購入してくれたのはもともと応援してくれていた方が半分、初めて私たちのことを知ったという方が半分でした。さらに販売後はSNSのフォロワーが増加しました。
矢沢さん:保護団体の支援といってもお金を使うことがすべてではないですし、保護猫の支援といっても実際に引き取って育てないといけないわけではありません。
例えばSNSをフォローして拡散を手伝ってくれたり、わたし達のポスターを店先や職場に掲載してもらったり、コラボ商品をつくってくれたり。直接的に猫と触れ合わなくても保護活動の大切な一部だと考えています。
矢沢さん:私たちだけでできることは限られています。こういった支援してくださるまわりの方たちがいてこそ、成り立っていますからね。
今後もTシャツは販売予定。でもモデルの猫はあえて決めない
矢沢さん:保護猫Tシャツは猫たちのことを知ってもらうためにも、今後も年に1回ペースで販売していきたいなと考えています。
ただ、どの猫をモデルにするかはあえて決めていません。猫たちの1番の幸せは大切にしてくれる里親と出会い、ここを卒業していくこと。素敵な家族と出会うことを最優先に考えたいので、ギリギリまでモデルは決定しない方針です。
LOVE & Co.では毎週日曜日に保護ネコ譲渡会というイベントも行っているそう。今回、掲載した画像に移っている猫たちも里親を募集中です。詳しくはこちらのWEBサイト (http://love-and-co.net/) のメニュー「Adoption」ページにてご覧ください。
※商品はWebサイト(http://love-and-co.net/)から、猫たちの様子はインスタグラム(https://www.instagram.com/loveandco_coffee/)で見ていただけます。
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【取材協力】一般社団法人LOVE & Co. ディレクター 矢沢苑子
放送系システム会社にて、システム開発・WEB&SNS運用・社内デザインなどに10年間携わった後、2015年にLOVE & Co. の前ブランドBuddyのメンバーとして参加。
2016年にLOVE & Co. を設立。ペットの骨壷カバーをオーダーメイドする「ethicolorful」ブランドや「no cat no life ~猫との暮らしインテリア」WEBメディアも展開中。
URL: http://love-and-co.net/
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