カレーやさんのTシャツ展覧会「着るスパイス」って?クセだらけの店長プロデュースのTシャツ達をレポート!
カレー屋さんのTシャツって可愛いデザインが多いと思いませんか?
「あのTシャツ、オシャレだな~」
なーんてカレー屋さん同士でも思ったりもするほど、カレー屋さんのTシャツは個性が豊か!
そんなイケてるカレー屋さんのTシャツが大集合するTシャツ展「着るスパイス」が、大阪・中津にある人気店「スパイスカレーまるせ」で開催されました。
開催期間はちょうど大阪で震災があった、2018年6月中旬。しかし、その余波をものともせずイベントは大盛況!
今回はイベントの様子や、カレー屋さんがオリジナルTシャツを作るまさかの(でも納得の)理由、カレー屋さんのTシャツにまつわる素敵なエピソードなどをご紹介します。
関西のカレー屋さん30店舗が大集合!気合が入りすぎた新作Tシャツのラッシュ
下町風情の残る、大阪・中津。木造の長屋風の引き戸をがらっと開けると、出迎えてくれたのはイベント会場「スパイスカレーまるせ」の店長・川崎真吾さん。
――川崎さんは、どうしてTシャツ展を開催されようと思ったのでしょうか?
川崎さん:
きっかけは、毎年大阪で開催されるカレーのEXPOでした。僕のお店はEXPOのためにTシャツを作っていったんですけど、みんなで着るのがお祭りみたいですごく楽しくて!
しかも他に参加していたカレー屋さん達もけっこうTシャツを作っていたので、「みんなでTシャツ展しようよ!」とノリでカレー屋さん同士で話してたら、実現しちゃいました。
知り合いのカレー屋さんに声をかけていたら、輪がどんどん広がって、最終的に30店舗が出店することになりました。
――このイベントの見どころを教えていただけますか?
川崎さん:
みんなの新作Tシャツです!イベントの本来の趣旨は、「カレー屋さんがいつも着てるTシャツを展示・販売する」ことだったんですけど、みんな気合が入りすぎて、新作Tシャツを発表するという、まさかの展開になりました(笑)。
スパイスカレー43っていうクレイジーなカレー屋さんは、40色展開してます。あと、毎日いろんなカレー屋さんのスペシャルコラボカレーが食べられるのもこのイベントの見どころで、3種類のカレーをあいがけした期間限定の一皿をご提供しました。
――どんなお客さんがいらっしゃいますか?
川崎さん:
好きなカレー屋さんのTシャツを買いに来る方が多いですね。一方で、カレー屋さんの僕たちとしては「他のカレー屋さんのことも知ってもらえると嬉しいなぁ」という思いもあって。だからそれぞれのTシャツに、お店を説明したカードをつけました。
気に入ったTシャツに添えてあるショップ情報を見て、「あ!このお店うちに近い!」とか「美味しそう!」って思って、足を運んでもらえればと。
▲Tシャツにはショップの基本情報とカレーの説明が!
店主が語るTシャツのこだわり!
Tシャツを作ったきっかけは「一張羅を守るため」
……ってどういうこと?
取材時にキッチンに立っていた3つのカレー屋さんに、ご自身のお店のTシャツのポイントを語っていただきました。
①スパイスカレー まるせ(店長・川崎さん)
【中津】スパイスカレーまるせ
カレーの特徴:東インド・ベンガル地方のカレー(川魚を使うことが多い)。
――どうしてTシャツを作ろうと思ったのでしょうか?
川崎さん:
カレーEXPOがきっかけです。やっぱりEXPOってお祭りだから、みんなで同じ服で盛り上がりたいなーと思って!あと、私服でお店に立っているとカレーの匂いがついちゃうんです。だから、カレーの匂いがついても問題のないTシャツを作りました(笑)
※黄色はキッズサイズです。
――Tシャツのデザインのポイントは?
川崎さん:
ベンガル虎です!うちはベンガルカレーを出しているので、カレーに合わせたデザインにしてみました。イラストは安藤智さんにお願いして、「観光地のおみやげっぽくして」ってリクエストしたんです。“ぽい”でしょう(笑)
あとは、お店のロゴは背中にちらっと見せるのみにして、普段づかいできるようにしてるのもポイントです。
――Tシャツにまつわる素敵なエピソードはありますか?
川崎さん:
素敵……?あ、あります!
ある日、僕と奥さんと子どもの3人で出かけていたら、やたら周りから微笑ましい目線で見られることがあって。「なんなんやろ~」って不思議に思ってたんですけど、ふと自分たちを見たら、3人ともこのTシャツをお揃いで着てたんです(笑)「どうりですれ違う人の視線が優しいはずや~」って!(笑)
それぐらい自然に普段づかいできるTシャツデザインに仕上がったということだ、って解釈しています(笑)
②スパイスカレー43(店長・よっさん スタッフ・おかみさん)
【靱本町】スパイスカレー43
イチオシのカレー:瀬戸内レモンスプラッシュ(チキンキーマに瀬戸内レモンを皮ごとトッピングした、同店でしか食べられないヒトサラ)
※とてもシャイな店長さんに代わって、取材はおかみさんが応えてくださりました。
――どうしてTシャツを作ろうと思ったのでしょうか?
おかみさん:
私達(店員)の私服が、接客にするには、どうにもうるさかったんです(笑)色の主張が激しかったり、袖が膨らんでいるような配膳には向かないデザインだったり。
だから、お客様に失礼のないユニフォームとして、オリジナルTシャツを作りました。でも、Tシャツに合わせる私物のボトムや小物がカラフルなので、そこに合わせてたら、結局40色作ってました……(笑)
――Tシャツのデザインのポイントは?
おかみさん:
ストレートに「カレーライス」と入れた、シンプルさですね。あとは背面!うちは43という屋号なのですが、背番号みたいに43って背中に入れました。
――Tシャツにまつわる素敵なエピソードはありますか?
おかみさん:
私の友人が北海道で給食を作る仕事をしているのですが、 彼女が「カレーを作る日は、カレーライスTシャツを着たいの。だから、カレーライスTシャツを売って欲しい」って言ってきたんです。だから北海道には、カレーの日にカレーライスTシャツを着ている給食職員がいます(笑)
――おちゃめな方ですね(笑)
おかみさん:
はい(笑)しかも、この話はここで終わらなくて。私が店内でお客さんにこのエピソードを話していたら、ちょっと離れた席に座ってた別のお客さんが話に入ってきたんですね。
「あの……私も給食を作る仕事をしているんです。今の話を聞いていたら、私もカレーの日はカレーライスTシャツ着たくなっちゃいました。買います!」って。こんな偶然ある!?って、びっくりしました。
だから今、日本にはカレーライスTシャツを着ている給食職員さんが、少なくとも2名います(笑)
③Asian kitchen cafe百福(店長・シンサック・チャナハーンさん)
【九条】Asian kitchen cafe百福
カレーの特徴:手食推奨のダルバート
――どうしてTシャツを作ろうと思ったのでしょうか?
シンサック・チャナハーンさん:
一張羅を守るためです!私服でカレー屋さんに立っていると、服が黄色くなるんですよ(笑)大事な服を守るために、お店用のオリジナルTシャツを作りました。
――Tシャツのデザインのポイントは?
シンサック・チャナハーンさん:
うちはアジアンキッチンなので、アジアを感じられるデザインにしています。あと、うちで作っているダルバートは手食を推奨しているので「IT’S MORE TASTY WITH HANDS(手で食べるともっと美味しいよ!)」と書きました!うちのお店の特徴をギュッと詰め込んでいます。
――Tシャツにまつわる素敵なエピソードはありますか?
シンサック・チャナハーンさん:
僕、タイとか東南アジアを放浪してたことがあって、ヒマラヤも登ってるんです。ヒマラヤにもこのTシャツを着てったんですけど、山小屋でTシャツを洗ったら5分でパリッパリに凍りました。
――それって、素敵なエピソードなんですか?(笑)
シンサック・チャナハーンさん:いや、5分ですよ!すごくないですか!
Tシャツが知らないお店に入るときの壁と超えさせてくれる!?
新しいお店って、タイミングが合わなかったり、扉を開けるのに勇気が必要だったりで、なかなか開拓できない気はしませんか?
でも、オリジナルTシャツがその壁を取り払ってくれることがあるんだと、今回のイベントで感じることができました。
もしも今後お店でオリジナルTシャツを作る機会がある(もしくは既に作っている)方は、同業者に声掛けをして展示会をしてみるのも良いかもしれません。Tシャツがきっかけで、新しいお客様との出会いが生まれるはず!
【取材協力】着るスパイス
■スパイスカレーまるせ URL: https://www.currymaruse.com/
■スパイスカレー43 URL: https://www.facebook.com/spicecurry43/
■Asian kitchen cafe百福 URL: https://twitter.com/namastesawatdee
他、『カレー屋さんのTシャツ展。「着るスパイス」 』に参加している、すべてのカレー屋さん。
■イベントURL: https://www.facebook.com/kiruspice.t/
※2018年6月のイベントは終了。
小嶋 悠香
編集者兼ライター
フードアナリストの資格などを生かして、関西メイン、ときどき関東で活動。
オランダの帰国子女。
Facebook: https://www.facebook.com/randa0919