浅草のオリジナル日本語Tシャツが外国人から人気の理由に迫る
訪日外国人が訪れる観光スポットとして大定番の街、東京・浅草。
さまざまな土産店が軒を連ねる中、最近話題になっているのが裏仲見世通りに店を構えるSparkle(スパークル)です。
オリジナルTシャツの種類は50種以上。その中でも、最近テレビやWEBで取り上げられて注目を集めているのが「日本語Tシャツ」です。
今回はスパークルの店員さんに、人気の日本語Tシャツについて、お話を聞いてきました。
しかし、話は思わぬ方向に・・・。
(以下、回答してくださったのはスパークルの店員さんです)
オモシロ系日本語Tシャツを買っていくのは外国人ではなく○○○だった
ーーまずは話題の「日本語Tシャツ」を紹介していただけますか?
最近売れているのは、一言ネタのようにユニークなワードをプリントしたオモシロ系日本語Tシャツです。中でも一番人気はこちらの「もやしTシャツ」。
ーーこれはシンプルかつシュールですね!一見笑えますが、しばらく眺めていると不思議とカッコよくも見えてくるような。
他にもこちらの「ゲスTシャツ」や、漫画の名セリフをモチーフにしたオリジナルTシャツも人気です。どれも日本語の面白さが最大限に引き出されるように、デザイナーがフォントやレイアウトにはかなりこだわっています。
ーー日本人ならつい「クスリ」と笑ってしまうデザインばかりですね。これらのTシャツはどんな外国人が買っていきますか?
今紹介したようなオモシロ系の日本語Tシャツを買っていくのは、実は外国人よりも日本人観光客がほとんどです。特に修学旅行生が「何これ!」と面白がって買っていくことが多いですね。
本当に外国人に人気があるオリジナルTシャツとは?
ーーでは、実際に外国人から人気があるのはどのようなデザインですか?
そうですね、こちらのTシャツのように、「日本」や「東京」「浅草」などをテーマにしながらも、スタイリッシュで街でも着られるようなデザインが人気です。
ーー先ほどの「もやしTシャツ」や「ゲスTシャツ」などとは違ってクールなデザインですね。しかし、もっと和柄や漢字、日本語を全面に押し出したデザインが人気かと思っていたのですが…
全てが日本ぽくなりすぎるといかにもお土産という感じで、帰国したら恥ずかしくて着れないと思うんですよ。自分も海外旅行に行って現地で記念にTシャツを買うときは「I LOVE NY」みたいなシンプルなものを選びます。だから、例えば和柄を使ったら文字を「東京」ではなく「TOKYO」にしたり。デザインを考えるうえでバランスはとても大切にしています。
お店の奥の小さな個室…そこにスパークルの人気の秘密が隠されていた
ーーお店にはどんな国の人が来ますか?
インドネシアやマレーシアの方が多いですね。欧米やヨーロッパの人も来ますが、割合としては少ないです。
ーーなぜインドネシアやマレーシアといったイスラム圏の方が多いのでしょうか?
うちはお店の中にイスラム教の人がお祈りできるスペースを設けているんですよ。イスラムの人にとってお祈りはとても重要ですが、日本ではほとんどお祈りできる場所がありません。時には仕方なく、道の隅でひざまずいてお祈りしている人もいるんです。
ーーお祈りのスペースを見せてもらってもいいですか?
いいですよ。商品の奥に隠れた小部屋がお祈りのスペースです。
本当にちょっとした小さなスペースですが、床にはエルサレムの絨毯を敷いて、礼拝前に身体を清めるための水と、祈りを捧げる方向を示すスマートフォンアプリを用意しています。簡易的ですが、この空間がイスラム教徒の人には大切なんです。
ーーなぜお祈りのスペースを設けようと思ったんですか?
私たちのTシャツはバングラディッシュの工場で製造しているんですけど、そこで働く現地人の友人がイスラム教徒で、彼からイスラム教信者にとって礼拝がどれだけ大切なのかということを教えてもらいました。そして、彼のようなイスラム教徒の人のためにと、このスペースを用意したんです。その後、インドネシアでとても有名なスターがこの店によく来てくれるようになり、その人の影響で続々とお客さんが足を運んでくれるようになりました。
ーー意外なお店のエピソードを聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、Tシャツデザインへの思いや今後の夢などをお聞かせください。
「日本語のTシャツが外国人に人気」という視点でメディアに大きく取り上げられましたが、実際はちょっと違います。日本人も外国人も国籍問わず、ほとんどの人はクールだったり可愛かったりオシャレなデザインを求めていて、一部の人がユーモアの効いたTシャツに興味を示します。
そして、スパークルに多くのお客様がご来店くださるようになったのは、必ずしも日本語Tシャツの力だけではなく、イスラム教徒の人に向けた取り組みが大きいです。
大切なのは、困っている人の声に耳を傾け、手を差し伸べるということ。協力し合うということ。2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人が快適に買い物を楽しめるようにさらに設備を充実させたり、よりオシャレに日本らしさを発信するオリジナルTシャツを作りたいですし、もっとオリジナルTシャツを楽しんでくれる人が増えると嬉しいです。
Interview & Writing & Photo:下條信吾(KaRaLi・Tropicos)
【取材協力】 Sparkle
住所:東京都台東区浅草1丁目37-2
営業時間: 10:00〜19:00 定休日なし(年中無休)
電話番号:03-6802-7661
ホームページ: https://asakusasparkle.jimdo.com