「冬は寒いのではなく、気温が低いだけ」 365日オリジナルの半袖Tシャツで過ごす、面白法人カヤック Tシャツ部・新人向けマニュアル
※今回の記事は、神奈川県鎌倉市に本社を置くWeb制作会社「面白法人カヤック」の人事部長であり、365日オリジナルTシャツで過ごす「Tシャツ部」部長の柴田史郎さんに執筆いただきました。
「Tシャツ部」とは?
こんにちは。
面白法人カヤックの「Tシャツ部」は、365日Tシャツのみを着用することをルールとしたサークル活動です。
私はその5代目部長の柴田と申します。
Tシャツ部の創始者である初代部長はカヤック代表取締役の久場です。彼は、カヤックという会社もつくりました。1日1食部、ひげ部、スーツ部、筋肉部などさまざまなサークル活動を行っています。
ちなみに現在のTシャツ部の部員は1名です(私のみ)。私は7年ぐらい活動しています。
「Tシャツ部」のマニュアルの使い方
今回記載する「Tシャツ部」のマニュアルは新しくTシャツ部へ入部する部員に、我々の必要とする考え方を身につけてもらうために書きました。しかし、このマニュアルに書かれている方法は、一つの答えに過ぎません。我々が必要としているのは、常に疑問を抱き、自分の力で考えられる人材です。
ただ、入部したばかりの部員に「自分で考えろ」といっても混乱するでしょうから、まず何をすればいいのか?をまとめてみたのがTシャツ部のマニュアルです。その内容を少しご紹介します。
「Tシャツ部」の規則
まずはTシャツ部の基本的な規則(ルール)を知りましょう。
ルール1:「365日Tシャツだけで過ごす」
Tシャツ部の最も重要なルールは、「Tシャツだけで過ごす」。
それはつまり、上着を着てはいけないということです。
ルール2:「Tシャツだけで過ごす理由を考えてはいけない」
人はすぐに理由を求めます。しかしそれがよくない。
もはや「Tシャツを365日着る理由を探すこと」が、Tシャツ部の目的であるともいえます。
Tシャツというものを媒体として、人生とかの悟りを探す、みたいなことをするのが目的なのです。
この努力の過程こそが一番素晴らしく、未完成であることがTシャツ部の価値なのです。
まあ、とりあえずまずは「理由は考えずに毎日Tシャツを着ていればよい」と理解しておけばいいでしょう。
また、私の代で廃止になったルールもあります。
(参考)廃止された過去のルール1:「腕を組んではいけない」
(参考)廃止された過去のルール2:「ポケットに手を入れてはいけない」
冬にTシャツだけでいることは寒いので、それを我慢するような仕草はいけないというのが、先代部長の意図のようでした。
しかし、人間は寒くなくてもポケットに手を入れて歩きたいときがあります。
腕を組みたいときもあります。
Tシャツ部は寒さへの我慢だけが目的ではないですし、短絡的なルールであるように思えたため、廃止としました。
入部資格
Tシャツ部にはこれといった入部資格はなく、どんな人でも入部できます。
たまに年中Tシャツ短パンで過ごす子どもがいますが、そういうもともとTシャツ部としての素質がある人でなくても大丈夫です。
ちなみに、私の小学校時代の集合写真を見つけたところ、1人だけTシャツでした。
これは偶然なのか必然なのか・・・自分でもビックリです。
オリジナルTシャツをつくろう
Tシャツ部に入ったら、まずはオリジナルのTシャツをつくることをおすすめします。
必須条件ではありませんが、オリジナルのTシャツを着ることで
「なぜいつもTシャツなのか」
この質問をできるだけ回避できる可能性が上がります。
こちらが私のTシャツです。
まず老若男女にわかりやすく理解してもらえることを目指し、自分の名前(柴田の「柴」)を書いたTシャツとしました。
「柴田だから、柴と書いてあるTシャツを着てるんですね」
大多数の人はそれぐらいの理由で納得してくれます。
むしろ、なぜ自分の名前が書かれたTシャツを着ているのか、そっちのほうが謎なのですが、
その理由を聞いてくる人はほぼいません。
Tシャツは1回で20〜30着をつくって、半年に1回ぐらいで全部とりかえています。
周囲からの質問への対応方法
「なぜいつもTシャツなのですか?」とよく聞かれることがあります。
この質問には、相手の望む答えを返しましょう。
「Tシャツが好きだから」
「健康法です」
など。
本当の自分の意図など入れる必要はなく、表面的な答えで構いません。
なぜなら相手もあなたがTシャツでいる本当の理由などには興味がなく、単なる雑談としての質問でしかないケースがほとんどのためです。
寒さへの心構えと対応方法
▲真冬の北海道でもTシャツでいる柴田
まず、先代の部長が残してくれた名言をご紹介します。
「寒いのではなく、気温が低いだけ」
素晴らしい言葉ですね。
まずは心構えとして、「今日は寒い」のではなく「今日は気温が低い」と捉えましょう。
こちらの心構えがどうあれ、「寒くないのですか?」と真冬の外出中でよく聞かれます。
その場合、回答にはサービス精神が必要です。
「寒くないですよ!」
と元気いっぱいに答えるべきか、
「寒いに決まっているでしょう」
と答えるべきか、
質問してきた人の特徴によって瞬時に判断する必要があります。
本当に冬にTシャツだけで歩いていることに対する「驚き」や「不安」が大きい方には、安心感を与えるために「寒くないです!」と元気に答えます。主に高齢者の方などに、道ばたで聞かれる場合はこちらです。
「こいつちょっと変な人なのでは?」という面白半分で「寒くないですか?」という質問をしている方には、「寒いに決まっているでしょう」という答えのほうが喜ばれます。
「面白法人」などと名乗っている会社の社員でもありますので、会社の名前を背負っている仕事中は、後者の答えが多くなります。
そうは言っても風邪を引いた場合
会社を風邪で休んだ場合、「Tシャツだから風邪を引くんだよ」といわれることもあります。
しかし、人間はTシャツでなくとも風邪をひく生物なのです。
私の経験によると、真冬は気合いが入っているのでTシャツでも風邪をひかないのですが、季節の変わり目には風邪をひきます。これも他の人と一緒です。
風邪を引いてTシャツで病院に行くと、お医者さまから怒られます。もちろん私も怒られました。
そこで私は怒られないための解決策を見つけました。
上着を着ずに病院まで持って行き、さも待合室で脱いだ体をとってください。
(熱が出ていて熱い、というような感じを出します)
これによって、風邪を引いて病院にTシャツで行くことと、医者に怒られないことを両立できます。
自己紹介に活用する
オリジナルTシャツは、社外で講演などをするときのわかりやすい自己紹介にも有効です。
「このTシャツを30着持っていて、毎日着ています」
この一言で老若男女全員に私のことを覚えてもらえます。
冠婚葬祭へもTシャツを着ていくのか
実務的な部分でもハードルはこれが一番高いです。
結婚式は行きたくないので全部いきません(これはTシャツ関係ない)。
親の葬式は、黒いTシャツであればOKと確認をとってあります。
(もちろん「柴」の字がはいっている特注をつくります。)
会社の上場セレモニー(場所:東京証券取引所)のときは、特別なTシャツをつくって参加しました。
「柴」の字があかくなってます。あと下半身がスーツです。
休日の過ごし方
Tシャツ部は休日もTシャツを着て過ごします。そもそもこれは仕事ではない。
オンもオフも関係ありません。
Tシャツ部の苦手なこと
これまで、Tシャツ部のさまざまな側面を述べてきましたが、この手法には当然デメリットもあります。
デメリット1:Tシャツでいくと怒られる場所に、Tシャツでいくと怒られる。
これは、法人としてチームで仕事をする限り、上司などTシャツ以外の服を着ることができる社員にお願いし、代わりに参加してもらうしかありません。
デメリット2:Tシャツだけでいくと寒い場所に、Tシャツでいくと寒い。
寒い場所にTシャツでいくと、寒いです。
気温が低いだけではなく、寒いです。
私は会社に歩いて出社できる距離に住んでいますが、冬はタクシー通勤が増えて出費がかさみます。
服装以外のあらゆる手段で回避することになりますので、コストもかかります。
最後に
以上、Tシャツ部の心構えやさまざまな場面での正しい対応方法をまとめてみました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
基本的な方針を理解したら、あとは自分自身でTシャツ部としてのキャリアをつくってください。
Tシャツ部としてのチャレンジをすればするほど、ミスも増えていきます。しかし、それを恐れてはいけません。
Tシャツ部は創部以来、ミスを理由に部員を解雇したことはありません。
仮にどのようなミスが起きたとしても、それは学習の機会だと捉えましょう。
365日Tシャツで過ごす上で失敗したことは、自分の考えが間違っているかもしれない、と内省する貴重な機会です。
失敗にも悪い失敗とそうではないものがあります。
同じ失敗を繰り返すのは愚の骨頂ですが、失敗をしなければ、成長はできないのです。
また、ここに書かれている内容は、「暇だったからValveの新入社員用マニュアルを20000字ぐらいで翻訳してみたよ」という記事を参考に書きました。
Tシャツ部の新人マニュアルだけではなく、私が働いているカヤックの新人マニュアルもつくりたいな、というのが私の正直な感想です。
世界でたった1つ。
あなただけのオリジナルTシャツを作ろう。
オリジナルTシャツをみる
柴田史郎
面白法人カヤック人事部長
会社でも、休日でも、真冬に北海道の実家に帰るときも、365日を同じ半袖Tシャツで過ごす、Tシャツ部唯一の部員。青春を落語に捧げた落語家人事。
面白法人カヤックホームページ: https://www.kayac.com