「想いを語れるTシャツのほうがかっこよくない?」週替わりでNPO団体を支援する京都のチャリティーブランド・JAMMINのこだわり

(左:共同代表の高橋さん 右:代表の西田さん)

 

「想いを語れるTシャツのほうが、かっこいいじゃないですか」


そう話すのは、チャリティーブランド・JAMMIN(ジャミン)代表の西田太一さん(写真右)。
JAMMINは毎週、コラボ先のチャリティーに合わせた異なるデザインのオリジナルTシャツを販売しており、そのデザインのすべてにチャリティー先の想いを込めています。

例えばこのデザイン。
こちらは20歳未満の子どもたちの自立支援を行う「NPO法人子どもシェルターモモ」とコラボした際に誕生したもの。子どもたち一人ひとりの人生が時計で表現されており、時計が刻む13時という時刻には、これから「新たな時間を刻んでほしい」といった意味が込められているそう。

Tシャツを通じて社会問題への関心のきっかけを作り、日常の中で知らず知らずのうちに支援の輪が広がる――そんな仕組みを作りたいと語る西田さんに、これまでの思い、これからの展望を語っていただきました。

大学時代に出会ったスリランカ、その光景に導かれて就職・起業

(自社内にある、Tシャツにデザインをプリントする場所。ここでJAMMINのメンバーが、1つひとつオリジナルTシャツを手作業で作っている)

 

――西田さんがJAMMINを立ち上げたきっかけを教えていただけますか?

 

西田さん(以下 西田):大学のときに研究でスリランカに行くことがあって、そこでテレビで見ていた途上国の世界が実際にあることを目の当たりにしたんです。濁った水を飲んで腹を壊したり、ゲソゲソに痩せ細った子どもがいたり。『そういう世界がほんまにあるんやな』って思いました。

 

――JAMMINのホームページはファッション系ECサイトというよりも、いろいろ団体の情報が載っている「メディア」の要素が強いですよね


西田:
はい、僕たちはチャリティーブランドなのでまずは「世界にはこういう問題があるんだよ」って知ってもらうことに軸を置いています。世間には、大手企業・メディアが発信するメジャーな社会問題のほかにも、限られた資金の中で誰かが必死で解決しようと努めている課題がたくさん存在しています。僕たちはそんな課題を解決しようとしているNPOの力になりたくて、その人たちの資金調達や広報(情報発信)の役目をチャリティーでサポートしようとしています。

 

小さなブランドだからこそ、世間的にマイノリティな問題を取り扱えるのがJAMMINの強さでもあります。

ちょうどその頃、大学で水問題を勉強していたんで『自分の持っている知識でもこの村の100人は救える』と感じて、そのときは起業せずに “途上国の支援”を行っている大手開発コンサルティングに就職することに決めました。でも、いざ就職してみると、その会社がしていたのは10年後・20年後にようやく成立するようなプロジェクトばっかりでした。

もちろん、大きなプロジェクトに携わっているやりがいはありました。でもやっぱり小さくても、やったことがすぐに反映される仕事をやりたいという思いが強くて。それで、会社の同期だった高橋(共同創業者)と毎週話しあって、その中で生まれたファッション×チャリティーというアイデアを基にJAMMINを起業することにしました。

街中のカフェでふつうのお姉ちゃんが着てくれるようなブランド、それが理想

(これまで手掛けた200ものオリジナルデザインは、プリント用製版に納められ、大切に保管されている)

 

ーーJAMMINのオリジナルTシャツは、どのような方に手にしてほしいですか

 

西田:まだまだ、チャリティーTシャツを着るのはNPOに関心のある人がほとんどです。なので、NPOに関心のある人以外に、もっと振り向いてほしいです。
例えばEND ALSっていう難病を支援する団体とコラボした週があるのですが、その活動の一部がヤフートップに載ったんです。そしたらあまりチャリティーに関心のない人からもTシャツを購入したいという要望が来て。そんなふうに、ふだんはチャリティーに関心のない人のもとにも、Tシャツと想いを届けられるといいなと思います。

 

あとは、たまたま「かわいいな」とか、なんとなく手に取ったものがJAMMINのTシャツだといいですね。「かわいい」入り口で買ったTシャツの一部が、知らず知らずの間に寄付になる、という。

理想は街中のカフェで、ふつうのお姉ちゃんが着てくれるようなブランドになることです。「それどこで買ったの?」「JAMMINっていうブランドだよ」みたいな会話がある風景が生まれると面白いですね。

想いを語れるTシャツこそ、真(しん)にかっこいい!

(Tシャツの生地は、すべてメイドインジャパン。自社内の倉庫に保管されているTシャツを触らせていただくと、着心地の良さそうななめらかな肌触りと、しっかりとした生地の厚みを感じました)

(TシャツにはすべてJAMMINのロゴが記載されています)

 

西田:Tシャツのデザインは、もちろん「かっこいい」とか「かわいい」っていうのも大事ですが、僕らはそれ以上にストーリーを伝えていかないといけないと思っています。

 

西田:例えば、このダウン症にまつわるデザインを見てください。
ダウン症は、通常23組46本の染色体のうち1組だけ3本の染色体が生まれてしまうことが原因で発症します。デザインには染色体の組数に合わせて23個の家が描かれていて、うち1個だけ3つ目の扉を描いてます。
現代はダウン症の認知も広がりましたし、手術も発達してダウン症のお子さまが長生きできる社会になりつつあります。だからこそ、今後はダウン症のお子さまが成人になってから社会とどう関わりあっていくのかを考えないといけないという課題が生まれています。そこで僕らは「3つ目の扉から社会に出ていく」というメッセージをデザインで表現しました。

 

僕たちはTシャツにも、想いや意味が込められたものを作ろうという意識でやってます。やっぱり「なんとなくかっこいい」よりも、想いを語れるTシャツのほうがかっこいいと思うので。

お客様からもらったバトンを社会につなぐ”ブランド”であるために

(生地だけでなく染料もメイドインジャパン。細部にいたるまで、そのこだわりがうかがいしれます)

 

ーー最後になりますが、オリジナルTシャツを作るにあたってのこだわりをお伺いしてもよろしいですか?

 

西田:いま話したように、やっぱり思いの部分ですね。ストーリーがあるものづくりを常に心掛けています。
チャリティー先を応援したいっていう思いでJAMMINの商品を購入してくれるお客さんもいるし、団体に直接寄付するのはちょっと抵抗があるけどこれなら良いなって思って購入してくれる人もいる。正直チャリティーにはそんなに興味はなかったけど、自分がTシャツを買ってチャリティーできるならそっちのほうがいいなって買ってくれる人もいれば、純粋にJAMMINのデザインやクオリティーが好きで購入してくれるお客さんもいる。

 

それぞれ想いは違うけど、JAMMINを通して社会貢献していることに変わりはないわけで。Tシャツでストーリーを丁寧に紡いで、お客様からもらったバトンをしっかりチャリティー先につないでいきたいと思っています。

世界でたった1つ。
あなただけのオリジナルTシャツとオリジナルタオルを作ろう。

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【取材協力】 西田太一さん

合同会社JAMMIN代表

1983年京都府生まれ。立命館大学在学中の2005年に訪れたスリランカではじめて途上国の現状を目の当たりにし衝撃を受ける。修士課程修了後、途上国の水問題等を解決したいと開発コンサルタント会社に入社。政府の成長戦略・インフラ輸出戦略立案やミャンマー・ダウェー経済特区開発に従事。「自分に出来ることからしよう!」と2013年にJAMMINを設立。
HP: https://jammin.co.jp/about/nishida/